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「終止コドン無視する遺伝子」多数存在の可能性?慶應義塾大学先端生命科学研究所のグループが国際論文誌に発表

遺伝子配列情報からたんぱく質が合成されるとき、ひとつの遺伝子情報の終結を意味する「終止コドン」と呼ばれる3塩基の配列(TAA, TGA, またはTAG)が現れると合成プロセスを終了し、たんぱく質一分子の合成が完了します。ところが、終止コドンがあるのにもかかわらずそれを読み飛ばし、た んぱく質を合成し続ける不思議な現象が存在することが知られていました。この現象は「リードスルー」と呼ばれ、ごくまれな例外的な現象またはエラーだと考 えられていました。

今回、慶應義塾大学先端生命科学研究所(所長・冨田勝)の研究グループは、コンピューターを駆使してショウジョウバエのゲノム配列を網羅的に解析し、終止 コドンの下流にもたんぱく質の機能配列が頻繁に存在することを明らかにしました。リードスルーしないのならば、終止コドンの下流に機能配列を持つ意味はな いはずなので、この研究結果は、リードスルーはかなり頻繁におきている可能性を示唆しています。またリードスルーによってたんぱく質の機能を調節・制御し ている可能性も示唆しています。すなわち、リードスルーとはエラーではなく、生命活動の一環として積極的に行っているのではないか、と考えられます。

通常「遺伝子」とは終止コドンまでの配列のことを指すので、この研究結果は「遺伝子」の定義を変えてしまうことになるかもしれません。

本研究の中心となったのは、総合政策学部4年の佐藤みさき君と環境情報学部2年の梅木瞳君。この研究成果は7月22日発刊の国際論文誌Bioinformatics誌に掲載されました。

佐 藤みさき君は「国際論文誌に発表できてとてもうれしい。今後はマウスやヒトゲノムで同様の解析を行ってみたい。」とコメントしています。また、共著者であ る齋藤輪太郎環境情報学部専任講師は「学部生がこのような大きな研究成果を出したことは快挙だと思う」とコメントしています。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

毎日新聞(山形) 8/21 21面

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