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世界初の三次元細胞シミューションソフトウェア「E-Cell 3D」を開発

慶應義塾大学先端生命科学研究所の荒川和晴助教と博士課程一年谷内江 望(やちえ・のぞむ)君らの研究グループは、細胞シミュレーションソフトウェアE-Cellによるシミュレーションを最先端の三次元(3D)グラフィクス 技術を用いて複雑な細胞内の現象を直感的に理解できるように可視化するソフトウェア、E-Cell 3Dを開発しました。

E-Cell 3Dは7月後半にオーストリアのウィーンで開催された、バイオインフォマティクス分野で世界最大の国際学会ISMB/ECCB 2007(Intelligent Systems for Molecular Biology/European Conference on Computational Biology http://www.iscb.org/ismbeccb2007/)及びBOSC(Bioinformatics Open Source Conference)にて発表され、非常に大きな反響を得ました。


21 世紀に入りヒトゲノムをはじめとする膨大な量の生命情報が公開されてきていますが、生命現象の動的なふるまいを理解する上ではそのままでは不十分であり、 シミュレーションによって個々の要素とそれらの相互作用が系としてどういう動態を示すかを理解していくことが重要です。一方で、細胞のシミュレーションは このように本質的に複雑な現象を取り扱うものであり、現状の複数のグラフから結果を読み取るインタフェースは、系を理解する上での大きな障害となっていま す。
E-Cell 3Dはこのように従来の系の一部分の反応をグラフで見るインタフェースではなく、最先端の3D可視化技術により系の全ての要素と反応を三次元空間上に美し いグラフィックスで見せることで、研究者が容易かつ直感的に、その細胞シミュレーションの系全体で起きていることを瞬時に把握できるようにするソフトウェ アです。分子生物学では一般的に扱うデータが非常に複雑なので、研究者の理解を促す可視化が重要な分野として注目されていますが、E-Cell 3Dは特にその中でも優れた可視化を行えるソフトウェアとしてISMB/ECCB及びBOSCでは多くの研究者を驚かせました。講演は立ち見で部屋が溢れ るほどの観衆を集め、学会期間中のみでウェブサイトのアクセスも1000カウントを超えるなど、非常に多くの反響がありました。
この研究成果はBioInform誌の取材を受け、記事が掲載されています。 (http://www.bioinform.com/issues/11_30/features/141361-1.html

冨田所長は「鶴岡発の新技術を国外に広くアピールできた。シミュレーション技術を駆使した最先端のシステムバイオロジーでこれからも世界をリードしていきたい。」とコメントしています。

本件に関する詳細は、関連URLの通りです。
E-Cell 3Dウェブサイト:http://ecell3d.iab.keio.ac.jp/

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