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バイオシグマ社(チリ共和国)とバイオ・マイニングの共同研究スタート

慶應義塾大学先端生命科学研究所(鶴岡市馬場町14-1、冨田勝所長)と、BioSigma S.A.(チリ共和国)は、バイオ・マイニング(微生物を利用した鉱業技術)に関する共同研究を開始しました。この研究は、鶴岡市先端研究産業支援セン ター(鶴岡メタボロームキャンパス)内にBioSigma S.A.が新しく研究室を開設して行われるもので、1月16日同施設内において締結式が開催されました。この締結式には、BioSigma S.A.のGeneral Manager、日鉱金属株式会社代表取締役社長、駐日チリ大使も参加しました。

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(握手を交わす冨田所長とBiosigma S.A. General ManagerのDr.Ricardo Badilla氏)

チリ共和国は金属鉱物資源に恵まれ、特に銅の採掘量は世界一であり世界のシェアの36%を占めています(2003年のデータ)。また銀がシェア6.7%, 金1.5%です。このほか亜鉛、鉄、鉛も産出しており、鉱業はチリの主要産業です。

BioSigma S.A.は,日鉱金属株式会社(本店:東京都港区虎ノ門二丁目 社長:岡田昌徳)とチリ国営銅公社であるコデルコ社が共同で設立した企業であり,チリ共和 国においてバイオ・マイニングの研究開発を行っています。2002年7月に研究開発を開始し,2007年2月には,コデルコ社が所有するアンディーナ銅鉱 山において,これまでの製錬技術では処理できなかった低品位硫化銅鉱石を対象とした実証試験を行い,バイオ・マイニング技術(地中微生物を利用した鉱石か らの金属浸出法。以下「同技術」という)を用いた電気銅を生産することに成功しています。  

同社の2007年から2010年までの事業計画では,研究開発を更に強化し,同技術の実用化の推進および基礎的研究開発の充実を図り,2010年末までに当社並びにコデルコ社が所有する銅鉱山等に対して同技術を商業的に適用する契約を締結することを目標としています。

慶 應義塾大学先端生命科学研究所(以下先端生命研)は,最先端のバイオテクノロジーとITを駆使した「統合システムバイオロジー」という新しい生命科学のパ イオニアの研究拠点として、世界的な注目を集めています。先端生命研では、大腸菌の細胞内物質を最先端の分析技術と遺伝子工学などのバイオテクノロジーを 駆使して徹底分析し、大腸菌が細胞内における振る舞い(代謝)を安定化するための様々な戦略を持っているという「細胞の頑強性」の定量的実証に成功しまし た。生物学史上最大規模の細胞分析実験を実施したこの研究成果は、米科学誌「サイエンス」2007年4 月27日号に掲載されました。

BioSigma S.A.は、世界中の研究機関の中から先端生命研が有する先端技術がバイオ・マイニングの更なる発展に不可欠であると判断し、今回の共同研究が締結されま した。共同研究期間は2年間の予定(延長あり)であり、BioSigma S.A.から3名の研究者が派遣され、鶴岡に常駐し鶴岡メタボロームキャンパス内で研究を行います。

この共同研究開始にあたり、先端生命研の冨田所長は「微生物を利用して鉱石から金属を溶出することは、省コスト・省エネルギーの革新的な技術です。当研究所が今までに培ったさまざまな技術を総動員してぜひとも大きな成果にしたい。」とコメントしています。

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(左から、先端研 中東准教授、同 曽我教授、同 冨田所長、BioSigma S.A.General Manager Dr.Ricardo Badilla,同 谷口シニアコンサルタント、日鉱金属(株) 柴田常務)

このニュースは下記のメディアで報道されました。

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