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「日本が強い技術」に慶大先端生命研が切り拓いたメタボローム解析

科学技術振興機構(JST)が発表した「科学技術研究開発の国際比較」2008年度版において、「日本が強い技術」として慶應義塾大学先端生命科学 研究所(冨田勝所長)が山形県と鶴岡市の支援を受けて独自に開発してきた「メタボローム解析技術」がライフサイエンス分野で選ばれました。

この調査は、JST研究開発戦略センターが社会ビジョンの実現に向けた研究開発戦略を企画立案するため、国内外の科学技術水準や現在行われている研 究開発の動向を比較したもので、電子情報通信、ナノテクノロジー・材料、ライフサイエンス、先端計測技術、環境技術の5つの科学技術に関して国際比較を 行ったものです。このうち、ライフサイエンス分野において日本が欧米に先行する技術分野の1つとして、メタボローム解析技術が選ばれました。

同 調査によると、日本のメタボローム解析技術は研究水準・技術開発水準の両面で欧米に先行しており、日本の優位性について次のように解説されています。

  • 慶大 先端生命研がCE-MS法により数千のイオン性代謝物の一斉分析を可能にした
  • さらに世界最大のメタボロームファクトリーを構築し、微生物の代謝解明、動 物や臨床検体を用いた疾患マーカー探索など精力的に研究を行っている。

等、慶大先端生命研の取り組みが高く評価されています。その他、

  • 理研が行っているメ タボロームとトランスクリプトーム(網羅的な遺伝子発現)解析からの植物の未知遺伝子の同定法
  • 京都大学が完成させた代謝データベース
  • 慶大先端生命研の 西岡孝明教授が研究代表を務めるメタボロームMSスペクトルデータベース(MassBank)の整備

等が、世界をリードする領域として取り上げられて います。

慶 大先端生命研は、2001年開設当初から独自のメタボローム解析技術を開発してきました。曽我朋義教授らが世界に先駆けて開 発したCE-MSメタボローム測定法は、細胞内に存在する数千種類の代謝産物の定量解析を初めて可能した画期的な技術です。慶大先端生命研はメタボローム 測定で得られた膨大なデータの中から重要な代謝物質を瞬時に探索するソフトウエアも開発しました。現在はこれらのメタボローム解析技術を用いてがんやアル ツハイマー病などの早期診断バイオマーカーの探索や疾患機序解明、二酸化炭素を消費し、オイルを産生する微生物の開発等、国内外の大学、研究機関・企業と 幅広い分野で共同研究を行っています。

先端生命研の冨田所長は「大規模なメタボローム解析の技術は山形が生んだ日本の独創的技術です。この技術がようやく日本の代表的技術として認知され始めたことは、とても喜ばしいことです。」とコメントしています。

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