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慶應義塾大学先端生命科学研究所、株式会社デンソーとオイル産生微細藻の共同研究を開始

慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、所長:冨田勝)は、バイオ燃料の原料として期待されているオイル産生微細藻が細胞内 でオイルを蓄積する代謝の仕組み(代謝機構)を解析し、オイル産生効率を向上させるための共同研究を株式会社デンソー(愛知県刈谷市、社長:深谷紘一)と 開始しました。


左から、冨田所長、株式会社デンソー基礎研究所 上野祥樹所長

地 球温暖化と石油資源の枯渇は、地球規模の深刻な問題であり、その解決策として、植物を原料とするバイオ燃料の積極的な利用が期待されています。特に、水中 に生息する微細藻は、単位面積あたりの収穫量が多く、半工業的に培養可能なため、次世代バイオ燃料の原料として注目されています。

  株式会社デンソーとの共同研究では、慶應義塾大学先端生命科学研究所が有するメタボローム解析技術によりオイル産生微細藻がオイルを蓄積する代謝の仕組み (代謝機構)を明らかにし、その知見をもとに、効率よくオイルを産生させるための培養条件を決定すること、さらには、品種改良によりオイル産生微細藻のオ イル産生能力を高めることを目指します。株式会社デンソーは、オイル産生微細藻を利用して二酸化炭素を吸収するための高効率な培養槽の研究と、細胞内に蓄 積したオイル抽出法の研究を行います。さらに、培養からオイル抽出までの経済モデルの評価を行います。  

慶應義塾大学先端生命科学研究所(以下先端生命研)は,最先端のバイオテクノロジーとITを駆使した「統合システムバイオロジー」という新しい生命科学のパイオニアの研究拠点として、世界的な注目を集めています。先端生命研の曽我朋義教授らにより開発されたメタボローム測定法(CE-MS)は、一度に数千個の代謝産物の定量解析を初めて可能にした新技術で、生命現象を理解する上で最も重要な研究手法の一つとなっています。本共同研究を担当する先端生命研の伊藤卓朗研究員らは、2006年よりメタボローム測定法をオイル産生微細藻に応用するための研究を行い、その手法を確立しました。また、オイルなど脂溶性の代謝物質を網羅的に解析するために、新たな測定法を開発しました。  

こ の研究が進むと、将来、発電所や工場から排出される二酸化炭素を利用してオイル産生微細藻を培養し、増えた藻から環境に負荷のかからないバイオエネルギー を取り出すことが可能になります。また、地下資源に乏しい日本においても、国内でのエネルギー生産が可能になります。この共同研究開始にあたり、先端生命 研の冨田所長は「空気中の二酸化炭素をオイルに変換してくれる、この"究極のエコ微生物"の実用化にむけて、我々の技術を総結集させて貢献したいです」とコメントしています。

このニュースは下記メディアでも報道されました。

山形新聞 4/25 朝刊

Biotechnology Japan「慶應義塾大学、デンソー、オイル生産微細藻類の脂質メタボローム解析で共同研究着手、CO2を転換するエコ微生物開発へ」

・荘内日報 4/26 1面トップ記事

・NHK 12時のニュース 5/6

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