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ダダチャ豆の味と香りの成分をメタボローム解析で詳細に分析

慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、冨田勝所長)の及川彰講師 らのグループは,ダダチャ豆の味と香りに関わる成分をメタボローム 解析によって詳細に分析しました。これは山形大学農学部(江頭宏昌准教授)および(独)理化学研究所植物科学研究センター(斉藤和季グループディレク ター)との共同研究です。

山形県鶴岡市を中心に栽培されているダダチャ豆は,濃厚な味と甘みを持つ美味しいエダマメとして全国にその名を知られています.エダマメは栄養価の高い野 菜であり,近年欧米でもその健康機能性から注目を集めている食材です.日本ではビールのおつまみとして欠かせない夏の風物詩となっています.中でもダダ チャ豆はその良好な食味から多くのファンをもち,鶴岡市の農業にとってもコメに次ぐ主力農産物として位置づけられています.

本研究では山形県庄内 地方在来のダダチャ豆およびその近縁の13系統を含む国内在来大豆21品種・系統に,商業品種6品種を加えた計27品種・系統のメタボローム解析を行 い,266種類の成分を網羅的に計測し、ダダチャ豆に特有な成分の探索を行いました.農作物に対してこのような大規模にメタボローム解析を行うのは初めて のことです.その結果,これまで知られていたように、ショ糖やブドウ糖などの糖類やグルタミン酸やアラニンなどのアミノ酸の量がダダチャ豆に多いことや, 香り成分2-acetyl-1-pyrroline(2AP)がダダチャ豆に多く存在することを確認できました.この香り成分は東南アジアなどで良く食さ れている「香り米」の香り成分と同じものです.今回これらに加え,酸味として味覚に関わる有機酸の量が,他のエダマメに比べダダチャ豆に有意に少ないこと が明らかになりました.さらにその他の成分にもダダチャ豆と他のエダマメで含有量の傾向に違いが見られました.

今回の研究成果で,美味し さなどのダダチャ豆の特性がメタボローム解析によって化学的に明らかになりました.これによって,ダダチャ豆特有の成分傾向を指標としたダダチャ豆ブラン ドの確立が期待されます.さらに,より美味しいダダチャ豆の品種育成や栽培方法の開発につながる可能性を持っています.
この研究成果は10月15日に千葉市で行われたエダマメ研究会で発表されました.

冨田所長は「慶應先端研が10年かけて開発してきたメタボローム解析技術が、ダダチャ豆のブランド化に貢献できればうれしい。今後も山形県内の様々な農作物をメタボローム解析して、県内の農業に貢献することを目指したい。」とコメントしています。

この記事は下記メディアで報道されました。

・山形新聞 10/21 16面
・日本経済新聞 10/21 39面
・荘内日報 10/22 7面
・化学工業日報 10/22 5面
・毎日新聞 11/4 19面

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