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慶大先端生命研の大学院生ら 文部科学省科学技術政策研究所の「科学技術への顕著な貢献2010」を受賞

慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、所長 冨田勝)の大学院生の菅原潤一君(政策・メディア研究科後期博士課程)と先端生命研卒業生で現在スパイバー株式会社(山形県鶴岡市)の代表取締役社長を務 める関山和秀さんが、文部科学省科学技術政策研究所(東京都千代田区、所長 桑原輝隆)の「科学技術への顕著な貢献2010(ナイスステップな研究者)」に選定されました。「クモ糸の人工合成」の独自技術を開発しそれを基にバイオ ベンチャーを起業し、山形県鶴岡市を拠点として知的産業振興に貢献したことが評価されたものです。2011年1月17日に、文部科学大臣への表敬訪問と記 念品の贈呈が予定されています。

(文部科学省科学技術政策研究所のプレス発表:http://www.nistep.go.jp/index-j.html

科学技術政策研究所では、2005年より、科学技術への顕著な貢献をした「ナイスステップな研究者」を選定しており、2010年は同研究所の調査研 究活動及び専門家ネットワーク(約2,000人)の意見を参考に、科学技術分野においてここ数年間になされた顕著な業績の中から、特に科学技術政策上注目 すべき10組13名が選ばれました。


過去には 山中伸弥氏(京都大学iPS細胞研究所所長)、野口聡一氏(宇宙飛行士)、茂木健一郎氏(脳科学者、SONY Computer Science Laboratory博士)、川口淳一郎氏(独立行政法人宇宙航空研究開発機構小惑星探査機「はやぶさ」チーム プログラムマネージャー)など、日本を代表する研究者が受賞しており、20歳代の研究者が受賞することは極めて異例。
山形県からは、アマチュア天文家で超新星発見数国内最多記録保持者の板垣公一さん(山形市)が2006年に受賞して以来の二組目(過去受賞者の所属先による)となります。

スパイバー社は2009年のバイオビジネスコンペJAPANにおいても最優秀賞を受賞しており、また、同年経済産業省のホームページに発表された「光る大学発ベンチャー20選」にも、全国1,800社の中から選出されています。

スパイバー社の顧問でもある、先端生命科学研究所の冨田所長のコメント:
「自 己保身と安定ばかりを求める内向きの若者が増えている日本において、リスクをとって独自の科学技術を開発し、知的産業を創出して自力で雇用を拡大する、そ んな気概のある若者に対するエールが、この受賞には込められていると思います。このような若い人材が鶴岡で育ち鶴岡で活動していることは、山形県にとっ て、慶應義塾にとって、そして私個人にとっても大きな誇りです。」

関山和秀氏のコメント:
「本当に社会を変えるような知的産業の創出は一朝一夕でできるものではありません。山形県・鶴岡市の方々のご理解と、長期的な視点でのご支援があったからこその選出と思います。この夢と志を実現できるよう、今後もメンバー一同全身全霊で取り組んで参ります。」

菅原潤一君のコメント:
「先端生命科学研究所には、エキサイティングな事に挑戦しようという人達が集まっていて、研究所全体に満ちるその雰囲気に、僕らも支えられてきました。多くの方に感謝したいです。」

【受賞理由(文部科学省科学技術政策研究所HPより)】
次世代バイオ素材「合成クモ糸」の実用化へ向けた学生発ベンチャーの山形県鶴岡市を拠点とした取り組み

わが国では大学発ベンチャーは教員発が主で、学生発は2割程度です。学生発はIT関連が主で、大学での研究成果を基にした起業が?ない状況にありますが、スパイバーは学生自身の研究成果である「クモ糸の人工合成」技術を基に起業されました。
クモの糸は、従来の合成繊維に比べて強度、伸縮性、耐熱性に優れ、生分解性で環境負荷が少ないことから、世界の注目を集めていますが、人工合成繊維として実用化に成功した例はありません。
関山氏、菅原氏は慶應義塾大学環境情報学部に在学中の2004年よりクモ糸の人工合成の研究を開始し、ともに博士課程で研究拠点としていた同大学先端生命科学研究所(鶴岡市)でクモ糸の人工合成に成功しました。
両氏が2007年9月に鶴岡市において設立したスパイバーは、同市の支援を受け、また鶴岡工業高等専門学校との連携により、地域に密着した取組を進めています。さらに同社はクモ糸の量産化に向けて、複数のメーカーとの共同研究を進めており、今後更なる発展が期待されます。

【補足】
ス パイバー株式会社:クモの糸の世界初実用化を目指し、慶應義塾大学先端生命科学研究所より2007年にスピンオフしたバイオベンチャー企業。クモの糸は従 来の合成繊維に比べて強度、伸縮性、耐熱性に優れ、石油非依存で環境負荷が少ないことから注目を集めている。同社は、クモの糸の主成分となる原料を微生物 に大量生産させる技術と、同原料を繊維化させるための研究開発に取り組み、クモの糸を人工合成することに成功している。現在、合成クモ糸の製品化に向け メーカーとの共同開発を進めている。(http://spiber.jp/jp/

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