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先天性貧血症の研究で慶大学部生 平成23年度優秀学生顕彰 学術分野大賞を受賞

慶應義塾大学先端生命科学研究所で行った先天性貧血症の病態に関する研究で、慶應義塾大学環境情報学部 4年の下 英恵(しも・はなえ)君が、独立行政法人日本学生支援機構が実施する優秀学生顕彰事業において大賞を受賞しました。(関連URL:http://www.jasso.go.jp/kensyo/h23kekka.html

この賞は、学術、文化・芸術、スポーツ、社会貢献の各分野で優れた業績を挙げた学生・生徒に対して、これを奨励・支援し、21世紀を担う前途有望な人材の 育成に資することを目的として、「学術」「文化・芸術」「スポーツ」「社会貢献」の4つの分野において優秀学生が表彰されます。下君が受賞したのは、学術 分野大賞であり、「国際的又は全国的規模の学会等での発表において、優れた功績が認められる者」に授与される賞です。今年度は全体で124名の応募があ り、その中から4名が学術分野大賞を受賞しました。

 下君が着目したのは「G6PD欠損症」という先天的貧血の遺伝病。これは、生まれつき「グル コース6リン酸脱水素酵素」(G6PD)の遺伝子に異常があるために、赤血球内でその酵素が働かず、貧血を引き起こすというものですが、その細胞レベルの 詳細なメカニズムはよくわかっていませんでした。そこで下君は、赤血球細胞のコンピュータシミュレーションを行い、発作時の細胞内の物質の変動を再現する ことによって、患者ごとの症状の違いを明らかにしました。そしてその研究成果をとりまとめて、今年8月にドイツで行われた「第12回システム生物学国際会 議」(International Conference on Systems Biology:ICSB2011)で発表し、さらに国際学術雑誌「Advances in Hematology」に掲載されました。(Adv Hematol. 2011;2011:398945. Epub 2011 Sep 28. )

受 賞に際し、冨田所長は「コンピュータシミュレーションを用いた下君の研究手法は、G6PD以外の様々な酵素欠損症の病理解明にも役に立つ可能性を秘めてい ます。「日本一優秀な大学生」として表彰されるにふさわしい研究成果です」とコメントしています。受賞した下君は「庄内のすばらしい自然と生活環境、そし て普通の大学生では決して得ることができない卓越した先端研の研究環境に恵まれて、大好きな研究に心置きなく没頭することができ、とても感謝しています。 世界的な科学者になっていつか必ず恩返しをしたいです」とコメントしています。

このニュースは下記メディアで報道されました。

  • 12/20 読売新聞 30面

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