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日本酒が熟成するしくみ 化学的に解明

慶應義塾大学先端生命科学研究所の食品研究グループは、日本酒を一定期間貯蔵することによって旨味やまろやかさが増す「熟成」という現象を、メタボローム解析によって化学的に明らかにしました。

鶴岡市の酒蔵8社の「生酒」と「火入れ酒」各1本ずつ合計16本の日本酒を研究対象とし、それらを貯蔵することによる成分の変化を4か月間追跡しました。 その結果、生酒は、甘味の主成分であるグルコースや、酸味や苦味に関係するペプチド類が時間とともに増加し、アミノ酸類は時間とともに減少することが判明 しました。一方、加熱殺菌処理を施した火入れ酒には、グルコースとペプチド類にはそのような増加は見られませんでしたが、アミノ酸類が減少する速度は生酒 より速いこともわかり、火入れ酒と生酒で異なる変動が観測できる結果となりました。

この研究結果は食品科学の国際論文誌Journal of Agricultural and Food Chemistry(農芸食品化学雑誌)3月7日オンライン版に掲載されました。(http://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/jf2048993)本研究は、鶴岡酒造協議会、(財)庄内地域産業振興センターとの共同研究による成果です。

  冨田所長は「慶應義塾大学が開発した世界最先端の分析技術を用いることで、日本酒の味の変化を化学的かつ経時的に計測することが可能になりました。日本酒 の品質管理、品質評価、そして貯蔵法の最適化にこの技術を利用できる可能性があります。また、日本酒だけでなくワインや焼酎など、他のアルコール飲料にも 同様の技術が応用できると思います。酒どころ山形ならではの研究成果が出せてとても嬉しいです。」とコメントしています。

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