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慶大先端研、東北大との研究成果発表-「腸腎連関」:腸内細菌叢のバランス制御が慢性腎臓病悪化抑制のカギ

東北大学大学院医学系研究科(宮城県仙台市)と慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)は、慢性腎臓病の病態における腸内細菌叢の関わりを明らかにしました。これは東北大学大学院医学系研究科 病態性制御学分野および医工学研究科の阿部 高明(あべ たかあき)教授と三島 英換(みしま えいかん)医学部助教、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田 真嗣(ふくだ しんじ)特任准教授(JSTさきがけ研究者)を中心とする研究グループの成果です。

近年、腎臓病の病態において腸内細菌叢を含む腸内環境の変化が報告されており、腸管が腎臓と相互に影響を及ぼしているという「腸腎連関」の存在が明らかになりつつあります。しかし腸内細菌叢が腎臓病にどのように関わっているか不明な点が多いのが現状です。今回研究グループは、無菌環境下で飼育することで、腸内細菌を全く持たない無菌の慢性腎臓病モデルマウスとメタボローム解析技術を駆使することで、慢性腎臓病の病態における腸内細菌叢の役割の一端を解明しました。

本研究から、腸内細菌叢の関わりとして尿毒素の産生という腎臓病にとって負の影響を有している一方、短鎖脂肪酸産生やアミノ酸代謝といった有益な作用も担っており、その結果腸内細菌がいない状態では腎臓病がより悪化しやすいといことが分かりました。このことは腸内細菌叢が腎臓病に対して良い面と悪い面の二面性を有しており、腸内細菌叢のバランスの制御が慢性腎臓病の進展予防に重要であることを示唆するものです。

本研究は慢性腎臓病の病態における腸内細菌叢が果たす役割の一端を明らかにしたものであり、今後は腸内環境をターゲットにした新たな腎臓病の治療法開発等の臨床応用へと発展が期待されます。本研究成果は2017年4月10日に国際腎臓学会学術誌電子版に掲載されました。

プレスリリースは以下をご覧ください。
https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2017/4/13/28-20335/


このニュースは下記メディアで報道されました。

  • 山形新聞 2017/4/14 24面
  • 荘内日報 2017/4/15 7面
  • 化学工業日報 2017/4/18 5面  
  • 日経産業新聞 2017/4/24 8面

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