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髙須賀圭三研究員、 平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、所長 冨田勝)の髙須賀圭三訪問研究員(日本学術振興会 特別研究員RPD)が、平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の若手科学者賞を受賞しました。(文部科学省のプレス発表:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/31/04/1415044.htm )4月17日(水)に文部科学省において表彰式が行われる予定です。


文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を「科学技術分野の文部科学大臣表彰」として顕彰しています。その中で「若手科学者賞」は、萌芽的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者が対象とする賞です。平成25年度には当研究所の福田真嗣特任准教授が同賞を受賞しており、当研究所関係者の受賞は2回目となります。


髙須賀研究員は、「クモ寄生バチの特異な産卵過程と寄生操作の実験行動学的研究」で本賞を受賞しました。これは、強力な捕食者であるはずのクモ類に特異的に捕食寄生(幼虫が体外に寄生し、蛹になる前にクモを殺す)するという稀有な進化を遂げたクモヒメバチ類が、クモを利用するために獲得した特有の適応形質を実験行動学的に明らかにした研究です。その最たる例は、寄生終期の幼虫がクモの張る網をハチが蛹期を過ごすのに適した形状に変えさせるように造網行動を操作する"網操作"現象であり、その研究成果は "Zombie spider" として世界各国から報道されるなどしました。


髙須賀研究員のコメント: 「クモヒメバチという非常にマイナーな生物の研究がこのように社会的に認められたこと、また、ミクロ生物学(生物体内で生じる現象の研究)の重要性が昨今ますます高まる中で、本研究のようなマクロ生物学(個体レベル以上の表現型現象の研究)的成果が選出されたことに望外の喜びを感じています。2017年よりここ鶴岡に家族と共に移住し、現在、先端生命研の研究員として Zombie spider がどのようなメカニズムによって生み出されるのか、オミクス解析を始めとする最先端ミクロ生物学の力を借りてハチとクモの両面からアプローチしています。国際的に注目を集めたマクロ生物学的現象をミクロ生物学的に解明し、ミクロとマクロを統合した研究成果によって、もう一度世界にインパクトを与えたいと思っています。」

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