慶應義塾大学先端生命科学研究所慶應義塾大学先端生命科学研究所

ニュース&イベント

HOMEニュース&イベント 2019年 乳がんの細胞増殖と治療薬効果のカギとなるタンパク質を発見、 英学術誌「Nature」に掲載される

2019年のニュース

乳がんの細胞増殖と治療薬効果のカギとなるタンパク質を発見、 英学術誌「Nature」に掲載される

慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、冨田勝所長)の齊藤康弘特任講師、曽我朋義教授らのグループは、乳がんの増殖や乳がん治療薬の効果の鍵となるタンパク質を発見しました。
ヒトの体内でがん細胞は、栄養、酸性度(pH)、酸素濃度など様々な厳しい環境の中でも異常に増殖することが知られています。特に、栄養が限られた(栄養ストレス)環境でがん細胞は、周囲の環境から効率よく栄養を取り込むよう適応する必要があります。研究グループは乳がん細胞が栄養ストレス環境に適応し増殖するためには、LLGL2SLC7A52つのタンパク質の働きによるアミノ酸「ロイシン」の細胞内取り込みが鍵となることを見出しました。さらに、LLGL2とSLC7A52つのタンパク質は乳がん治療の薬が効かなくなることに関連することも発見しました。
本研究成果は世界で初めて乳がん細胞におけるロイシンの細胞内取り込みの仕組みを詳細に明らかにすることによって、たったひとつのアミノ酸が乳がん細胞の増殖の鍵となること、さらに、アミノ酸の細胞内取り込みに関わるタンパク質が、がん治療薬への効果に影響することを明らかにした画期的な発見になります。

本研究はハーバード大学医学大学院(アメリカ・ボストン)との共同研究にて行われ、2019418日(日本時間)に英国科学誌『Nature』のオンライン速報版に掲載されました。

(https://www.nature.com/articles/s41586-019-1126-2)

プレスリリースは以下をご覧ください。

●プレスリリース全文


TOPへ