慶應義塾大学先端生命科学研究所慶應義塾大学先端生命科学研究所

ニュース&イベント

HOMEニュース&イベント 2021年 湯澤賢特任講師が第34回日本放線菌学会浜田賞を受賞

2021年のニュース

湯澤賢特任講師が第34回日本放線菌学会浜田賞を受賞

慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、冨田勝所長)の湯澤賢(ゆざわ・さとし)特任講師が、放線菌研究で優れた成果をあげた若手研究者を表彰する第34回日本放線菌学会浜田賞(研究奨励賞)を受賞しました。

日本放線菌学会浜田賞(研究奨励賞)は、放線菌研究の進歩に寄与する優れた研究をなし、将来の発展を期待し得る満40歳以下の学会員に授与され、その功績を表彰するものです。今回、湯澤特任講師の「放線菌由来のポリケチド合成酵素の機能改変による非天然ポリケチドの生産に関する研究」が高く評価され、本賞の受賞に至りました。

放線菌の多くは土壌中などに存在し、ポリケチドとよばれる物質を生成しますが、この物質は抗生物質や免疫抑制剤といった医薬品分野で広く応用されています。たとえば、アベルメクチンというポリケチドを一部改変した誘導体を作り出すことで、抗寄生虫薬として非常に効果の高いイベルメクチンが開発されました。このように自然界に存在するポリケチド分子構造の一部を合成化学的に変化させることで、これまで多くの抗生物質が開発されてきました。

湯澤特任講師は、ポリケチドを生産する放線菌の酵素に着目し、その酵素の機能を人為的に操作する技術の開発に取り組んでおり、これまで多数の人工ポリケチド(非天然ポリケチド)の生産に成功しています。一般にポリケチドの分子は非常に巨大かつ構造も複雑で、合成化学のアプローチでは改変が困難な場合も多いため、「酵素改変アプローチ」というユニークなバイオ技術を湯澤特任講師が生み出しました。これにより、今後これまで以上に多様な生理活性物質が開発されると期待されます。

湯澤特任講師は、「ポリケチド合成酵素の理解に向けた基礎研究と、新規医薬品の創製に向けた応用研究が評価され大変嬉しく思っています。今後は特に多剤耐性菌に怯えることのない未来を目指し、新規抗生物質の開発を進めていきたいと考えています。」とコメントしています。

日本放線菌学会 受賞者一覧:http://actino.jp/award_past_winners.html


▼このニュースは下記のメディアで報道されました。
・5/13 山形新聞 26面
・5/14 荘内日報 1面

TOPへ