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下痢型過敏性腸症候群の診断を補完する分類器を開発

慶應義塾大学先端生命科学研究所に所属する慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程3年田中一己と福田真嗣特任教授(順天堂大学大学院医学研究科細菌叢再生学講座特任教授・神奈川県立産業技術総合研究所腸内環境デザイングループグループリーダーを併任)らの研究グループは、東京大学大学院薬学系研究科の浦野泰照教授と小松徹助教、東北大学大学院医学系研究科の福土審教授と田中由佳里助教(研究当時)らとの共同研究成果として、下痢型過敏性腸症候群患者 (IBS-D)の便ではトリプシン様のタンパク質分解酵素活性が高く、エラスターゼ様のタンパク質分解酵素活性が低いことを明らかにしました。また、384個のタンパク質分解酵素活性測定データを用いた機械学習により、高い精度で健常者とIBS-D患者とを便から見分けられることを明らかにしました。
IBS-D は世界人口の3.8〜9.2%が罹患していますが、臨床的に認められたバイオマーカーはなく、アンケートによる自己申告症状に基づいた診断しかありませんでした。本研究では東北大学病院に来院されたIBS-D患者 35 名と健常者 35 名の便中のタンパク質分解酵素活性について、蛍光プローブを用いて網羅的に測定しました。IBS-D患者の腸内ではトリプシンと呼ばれるタンパク質分解酵素と同様の酵素活性が高く、エラスターゼと呼ばれるタンパク質分解酵素と同様の酵素活性が低い特徴があることを見出しました。また、384 個のタンパク質分解酵素活性を測定したデータを用いて機械学習により分類器を作成した結果、高精度に健常者と IBS-D 患者を識別することができました。
本成果は、スイスの微生物学研究分野のオンライン学術誌「Frontiers in Microbiology」に 2023年7月7日付(現地時間)で掲載されました。 

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