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高放射線環境の水中に生息する微生物群を明らかに

慶應義塾大学先端生命科学研究所に所属する藁科友朗(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科博士課程2年)と金井昭夫教授(同大学院 政策・メディア研究科 教授を併任)らの研究グループは、日本原子力研究開発機構などとの共同研究により、廃炉過程にある福島第一原子力発電所原子炉建屋内に生息する微生物群1)を明らかにしたと発表しました。

2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震及びそれに伴う津波により、福島第一原子力発電所の事故が引き起こされ、同原子力発電所は廃炉に向けた取り組みが進められています。今回、2号機原子炉建屋トーラス室2)に滞留した高い放射線物質 (1 × 109 Bq137Cs/L)を含むトーラス室水を例に取り、細菌の種類を判別できる16S rRNAの配列の塩基配列を解読することで、同環境に生息する細菌の種類と割合を網羅的に明らかにすることができました。その結果、トーラス室水は近隣の海などに比べて細菌の多様性は低いものの、わずかながらも限定された細菌が生息する環境であることが明らかとなりました。また、放射線に強い耐性を有するような細菌は見出されませんでした。これらの細菌の群集としての特徴は、ダメージを受けた原子炉を含め原子力施設の解体を考える上での安全管理や廃棄物処理の効率化への活用が期待されます。

本研究は文部科学省「英知を結集した原子力科学技術・人材育成事業 国際協力型廃炉研究プログラム」の中で行われ、慶應義塾大学、日本原子力研究開発機構、理化学研究所、国立遺伝学研究所、カザン大学 (ロシア)、東京工業大学、東洋大学、順天堂大学との共同研究になります。また、本成果は、米国微生物学会が発行する専門誌「Applied and Environmental Microbiology」に2024年3月12日にオンラインにて発表されました。

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